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コラム
2021/01/30
「間接材購買」は 専門家=プロ が必要な領域
前回お話しした、アウトソースした方が良い業務と、インソースで行った方が良い業務に基づき、会社の中で行われている「間接材の購買」という業務について紐解いてみたいと思います。
「間接材の購買」という業務は、売上を上げるための業務とも、商品の品質やサービス向上といった会社の戦略的な業務とも違います。会社をオペレーションしていくためには不可欠なものではあるものの、ど真ん中の業務ではありません。
「間接材購買(非戦略購買)」に専門性は必要か?
コア業務? ノンコア業務?
たとえば、“小売流通業”で言うと会計時に渡すレシート。レシートの紙がどう変わったかは、直接売り上げに影響を及ぼさないと考えられます。そのためレシート用紙の購入業務は、売上を上げるための戦略的購買業務ではなく、非戦略的購買業務・ノンコア業務に振り分けられます。
また“製造業”の場合、できあがる商品の品質に直接影響を及ぼす製造ラインの機械や部品、原材料といったものは、間違いなく戦略的購買になります。
一方、作業着や出荷の際に使うパレット、「ぷちぷち」と呼ばれている緩衝材、ダンボールなどの包材は、非戦略的な購買であり、ノンコア業務だと言えます。
ノンコア業務に専門性は必要か?
「間接材の購買」は、ノンコア領域の業務であり、非戦略的な購買業務です。
それでは、そのノンコア、非戦略的業務である「間接材の購買」に専門性は必要なのでしょうか。
答えは、「イエス」です。大きくうなずきながら「イエス」と言えます。
「良い購買」をするには、商品やサービスの業界のこと、またその仕様のことや、提供できる業者さん(サプライヤー)のことに加え、購入する時の市場の一般的な価格情報を知っておくことが重要です。
それがあって初めて正しい購買ができるわけですから、それぞれの商品やサービスに関する専門性が必要になってきます。このことは、直接材の購買であっても間接材の購買であっても変わることはないのです。
直接材を購買をする人は、“少しでも正しい”、“少しでも納得感のある”購買をしたいという思いでいます。
会社にとって戦略的購買であるコア領域の購買であるため、自然とプロとしての購買、専門家としての購買をする意識が生まれるのです。
一方で、「間接材の購買」は、会社にとってコアでなく、戦略性からは取り残された領域であるため、直接材ほど専門家として購買をしようという意識が生まれません。そのためプロや専門性は必要ではないという変な思い込みができてしまうのです。
コア・ノンコアで変わる購買の仕方
たとえば、「蛍光灯」を例に考えてみましょう。
スーパーマーケットで商品として売る「直接材としての蛍光灯」は、戦略的に仕入れる必要があるので、購買の専門家が売り手としのぎを削って、少しでも納得感のある購買をしようとします。
一方、同じスーパーマーケットの店舗で使っている「間接材としての蛍光灯」はどうでしょうか。それを購買しているのは、商品の仕入れをしている購買の専門家とは別の、総務や、店舗の従業員だったりします。このような店舗オペレーションのために購入しているものは、ノンコアの購買・非戦略購買になり片手間の購買が行われています。
これでいいのでしょうか?
コア・ノンコアにかかわらず購買には 専門家=プロ が必要
購買という業務については、コア領域・戦略購買である直接材の購買であれ、ノンコア領域・非戦略購買である間接材の購買であれ、必ず“専門家=プロが必要な領域”であるということを改めて申し上げておきたいと思います。
谷口健太郎 著 「間接材購買戦略-会社のコストを利益に変える」東洋経済新報社 を要約
谷口健太郎 著書
「リバースオークション戦略」東洋経済新報社
「間接材購買戦略 〜会社のコストを利益に変える〜」東洋経済新報社この記事が「参考になった!」と思ったら、facebookまたはTwitterでぜひ
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