物流・運送業界を取り巻く3つの環境変化とは? | ディーコープ株式会社

間接経費のコスト削減‟お役立ち”コラム集

  • コラム

    2022/09/28

    物流・運送業界を取り巻く3つの環境変化とは?

    今回は物流・運送業界を取り巻く環境変化について、3つのテーマに沿ってご紹介していきたいと思います。

     

    【3つの環境変化】  

    1.物流の2024年問題
    2.若者の運転免許証取得者数の大幅減(高齢化問題)
    3.脱炭素(CO2削減)対策

     

     

    1.物流の2024年問題

    働き方改革関連法により「時間外労働の上限規制」が2024年4月1日から自動車運転業務にも適用されることになります。この時間外労働上限が960時間に制限され、管理が厳格に行われることにより生じる諸問題が、物流の「2024年問題」と呼ばれています。

     

    時間外労働の上限規制は、大企業では2019年4月、中小企業では2020年4月からすでに施行されておりましたが、自動車運転業務へも5年間の猶予期間を経て2024 年 4 月から、年 960 時間 ( 休日労働を含まない ) の時間外労働の上限規制が適用されることになりました。

     

    他業種における年間残業時間の上限(720時間)と比べると、自動車運転業務は240時間も多く残業することが可能とはいえ、従来通りの働き方でトラックを動かすことはできなくなります。これにより物の動きが停滞することが容易に予測できるでしょう。   出典:「労働関係法令が改正されました」公益社団法人全日本トラック協会

     

    さらに働き方改革関連法により、2023年4月1日から月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の引き上げが中小企業にも適用されます。また既に2021年4月1日から、中小企業に正規社員と非正規社員間の不合理な賃金格差をなくす同一労働同一賃金が適用されています。

    2024年の時間外労働の上限規制は、割増賃金の引き上げや同一労働同一賃金への対応と共に今後の物流・運送業界に大きな影響を及ぼしてくると考えられています。

     

    具体的には下記のような影響が懸念されます。

    運送事業者:ドライバーの労働時間減少による走行距離減少=売上減少。利益低下。
          割増賃金率引き上げや雇用維持のため、人件費の上昇。
    ドライバー:時間外労働の上限規制による労働時間減少からの収入減少。
    荷主の企業:運賃上昇。車両の確保が難しくなる。

     

    なおすでに働き方改革の一環として、以下の様な運送の取り組みが始まっているのでご紹介します。

    ① 待機時間削減のための予約受付システムの導入
    ② 高速道路の利用を見込んだ配車計画づくり
    ③ 荷役時間削減にむけたパレット荷役への移行           
       ※輸送機器への貨物の積み込みや荷下ろし、あるいは倉庫・ヤード等への入庫・出庫を総称した作業
    ④ 輸配送時の交通渋滞を回避するための出荷時刻調整(時間の前倒しなど)

    出典:厚生労働省労働基準局労働条件政策課 国土交通省自動車局 貨物課 公益社団法人全日本トラック協会「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」

     

    物流の2024年問題。働き方改革を進めるにあたっては、物流・運送業界で長らく常態化している「長時間労働の抑制」が鍵となります。企業にとっても、従業員にとっても、顧客にとっても、ムリ・ムダを省き生産性を向上させることがより重要となるのです。

     

     

    2.若者の運転免許証取得者数の大幅減(高齢化問題)

    令和3年度版(2021年)運転免許統計によれば、10代・20代の運転免許保有者数は1,087万1,177人になっています。平成13年の同統計10代・20代の保有者数は1,742万7,185人とであることから20年間で10代・20代の免許保有者数は約655万人も減っていることになります。  出典:警察庁 交通局運転免許課「運転免許統計」

     

    これほど若者の免許保有者が減少すると、トラックドライバーを始めとする物流の自動車運転業務は、近い将来、致命的な人手不足に陥ることになります。

    特に大型トラックの運転手の平均年齢は49.4歳(厚生労働省、2019年)と高年齢化が進んでおり、免許証返納の年齢を早晩迎えることになるでしょう。

    また2017年からの新免許制度上、いまの若者は普通自動車の免許を取得してもいわゆる「2t車(最大積載量・車種にもよる)」を運転することができません。
    これらの問題にも早急なテコ入れが必要です。

     

     

    3.脱炭素(CO2削減)対策

    地球温暖化防止や大気汚染対策を目的として、世界中でEV(電気自動車)の普及が推進されています。そのため、CO2削減にむけトラックも電気自動車などのエコカーへのシフトが始まりました。日本も2021年1月に当時の菅総理大臣が「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」という目標を表明しました。国内自動車メーカーも着々とEV生産強化を図っています。

     

    国土交通省によると、2020年度における日本の二酸化炭素排出量(10億4,400万トン)のうち、運輸部門からの排出量(1億8,500万トン)は17.7%を占めており、物流・運輸業界の地球温暖化への影響は大きいと考えられます。

    では、物流・運送業界の電気自動車導入状況はどうなっているでしょうか? 
    大手運送会社は、エリアを限定したり、ベンチャー企業と連携したりしながら電気自動車の導入を開始しました。しかし、体力のある大手企業以外は中々思い切った対策が取れていないのが実情です。

     

     

    電気自動車導入にあたっては、すぐに解決することが難しいいくつかの課題があります。ここでは代表的な3つをお話します。
    特に大きな課題は、電気自動車は長時間の充電が必要であることが挙げられるでしょう。

    多くの荷物積載や、長時間稼働するトラックにおいては、大容量のバッテリーと長時間の充電時間が必要なことは、運用上大きなネックとなります。

    また充電設備の整った充電スタンドは、現行のガソリンスタンドの様に全国各地に配置されていないため、その充実も課題となりそうです。

    そして今のところ一番の課題は本体価格が高額となることです。バッテリーを搭載していることからガソリン車と比較してかなり割高となり、補助金制度はあるものの導入のハードルは高くなると言えるでしょう。

     


     

    今回は3つのテーマに沿って物流・運送業界の環境変化についてお話しして参りました。
    この3つに加え忘れてはならないのが、ガソリンなどのエネルギーコストの高止まりです。既にエネルギーなかかわる何らかの対策をしているとしても、運送業界では今後さらなる企業努力が必要となってくることでしょう。荷主企業も運送会社と協力しながらこの難局を乗り越えていく必要が出てくると思います。

     

    弊社も微力ながら、この課題の解決策を一緒に共創していきたいと思っております。お困りの際には是非お声掛けください。

     

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