新入社員、先輩社員向け購買の進め方 | ディーコープ株式会社

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新入社員、先輩社員向け購買の進め方

新入社員の方が新たに仲間に加わる季節ですね。購買の流れについての指導が必要となる時もあります。自分自身の知識を振り返りつつ、一緒に購買プロセスの進め方を見ていくことで、私たちはより効率的に、そして戦略的に業務を遂行できるようになります。購買の基本から、具体的なステップごとの詳細に至るまで、購買プロセス全体をわかりやすく解説していきます。

購買プロセスの概要: 購買の基本から学ぶ

購買プロセスは企業運営において不可欠な役割を担っています。このプロセスは、必要な商品やサービスを最適な条件で調達し、企業の運営効率と利益率を向上させることを目的としています。購買の基本から学ぶことで、新入社員も組織全体のパフォーマンスに貢献することができます。

購買プロセスは、大きく分けて仕様選定、見積もり取得、稟議・承認、発注、納品、そして請求処理の6つの主要ステップから構成されます。仕様選定では、購入する商品やサービスの必要条件を明確にします。次に、複数の供給業者から見積もりを取り、最もコスト効率が良く条件を満たす提案を選びます。稟議・承認プロセスを経て、選定された提案に基づいて正式な発注が行われます。商品やサービスの納品が完了したら、内容を検収し、問題がなければ請求処理に移行します。

このプロセスを理解し、適切に実行することで、コスト削減、時間の節約、そして品質の確保が可能になります。購買活動は単なる商品の購入以上の意味を持ち、組織の戦略的な目標達成に寄与する重要な要素です。これから購買部門に関わるすべての社員が、効率的で効果的な購買プロセスの実行を目指すことが望まれます。

また、企業によっては購買プロセスが社内規程により定義されていることも多いですので、まずはそのようなドキュメントがあるかを確認し、ある場合にはしっかり理解することが重要になります。

 

仕様選定の重要性: 効率的な仕様の決め方

仕様選定は購買プロセスにおける最初の重要なステップです。正確な仕様を決定することは、必要とされる商品やサービスが企業の要求を満たすことを保証し、コスト効率の良い購入を可能にします。効率的な仕様の決め方は、購入決定の質を高め、将来的な問題を避ける鍵となります。

仕様選定においては、まず具体的なニーズを理解することが重要です。これには、内部の関係者とのコミュニケーションが不可欠であり、使用目的、必要な機能、期待する性能水準、予算など、明確な要件が定義される必要があります。次に、市場調査を行い、利用可能なオプションを比較検討します。ここで、品質、コスト、サプライヤーの信頼性、アフターサービスなど、複数の要素を総合的に評価することが大切です。

また、以前同様の商品やサービスを購買した担当者の方がいるのであれば、その方に話を伺うことで組織内の購買への背景を理解することもできます。

仕様を決定した後は、関係者との再確認を行い、認識の齟齬がないかを確認します。これにより、後のステップでの誤解や不一致を防ぎ、スムーズな購買プロセスを実現します。効率的な仕様選定は、購買の成功を左右するため、慎重かつ綿密な準備が必要です。

 

見積もりと評価: 最適な提案を見極める

見積もり取得と評価は、購買プロセスにおいて極めて重要なステップです。この段階で最適な提案を見極めることは、品質を維持しつつコストを最適化し、最終的に企業の利益に貢献する適切な購入決定を行うために不可欠です。見積もりを効果的に取得し評価するためには、明確な基準と徹底した準備が必要です。

最初に、仕様選定の段階で定義した具体的なニーズに基づいて、複数のサプライヤーから見積もりを要求します。このとき、全てのサプライヤーに対して同じ情報を提供し、比較可能な提案を受け取ることが重要です。見積もりを収集した後は、価格だけでなく、提案された商品やサービスの品質、納期、サプライヤーの実績や信頼性、アフターサービスの質など、複数の要素を総合的に評価します。

評価プロセスには、詳細なチェックリストや評価基準を用意し、各提案を公平かつ客観的に比較検討します。必要であれば、サプライヤーに追加の質問を行ったり、詳細な説明を求めたりすることで、提案の内容を深く理解しましょう。また、総保有コスト(Total Cost of Ownership, TCO)を考慮に入れ、初期費用だけでなく、運用中に発生する維持管理費用や交換費用なども評価に含めることが望ましいです。

この段階を丁寧に実施することで、最もコストパフォーマンスの高い、企業のニーズに最適な提案を見極めることができます。最適な提案を選択することは、購買プロセスの成功を確実なものにし、企業の競争力を強化する上で重要な役割を果たします。

 

稟議と承認のナビゲート: スムーズな承認を目指して

稟議と承認のプロセスでは、効果的な稟議書を作成し、迅速な承認を得るためには、明確な情報提供と適切な準備が重要となります。

まず、稟議書には購入を行う理由、選定した提案の詳細、見積もりの比較、期待される利益やコスト削減など、必要なすべての情報を包括的かつ簡潔に記載します。情報は明確かつ具体的であるべきで、承認者が迅速に状況を理解し、判断を下せるようにすることが求められます。

稟議のプロセスを効率化するためには、承認のフローを事前に理解し、関係するすべての関係者にプロセスを通知しておくことが有効です。また、可能な限り承認者の疑問や懸念を予測し、稟議書の中でそれに対する回答や説明を提供すると良いでしょう。

承認者とのコミュニケーションも重要です。稟議書を提出する際には、直接会って要点を説明する機会を設ける、あるいは稟議書の重要ポイントを簡潔に説明するメールを送るなど、承認者が内容を容易に理解できるように努めます。

スムーズな承認プロセスを実現するためには、稟議書の質の高さと、承認者との良好なコミュニケーションが鍵となります。これにより、不必要な遅延を避け、効率的な購買プロセスを保証することができます。

 

発注から納品まで: 成功のための管理術

発注から納品までの過程は、購買プロセスにおける最終段階です。この段階では、注文の正確な処理、納期の厳守、品質の確保が求められます。成功への鍵は、明確なコミュニケーション、細心の注意を払ったスケジュール管理、そして柔軟な問題解決能力にあります。

まず、発注時には注文書を明確にし、サプライヤーとの間で合意した仕様、価格、納期等が正しく記載されていることを確認します。この時点での明確な合意は、後の誤解を避けるために不可欠です。また、注文書の発行後は、サプライヤーと定期的に連絡を取り合い、生産状況や納期に関するアップデートを受け取ることが重要です。

納品のプロセスでは、商品やサービスが指定された品質基準を満たしていること、そして予定通りに納品されていることを確認します。納品された商品は、受領時に詳細な検査を行い、不具合がある場合は速やかにサプライヤーに通知し、解決策を講じます。

効率的な管理術には、適切なドキュメント管理と情報の追跡も含まれます。全ての通信記録、契約書、注文書、納品書等を整理し、アクセス可能な状態に保つことで、必要時に迅速に情報を参照できるようにします。