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トップページ間接材購買ナレッジ&コラム第十一回 過剰品質から適正品質へ

第十一回 過剰品質から適正品質へ

2015年1月20日

「聞くこと」によって適正購買に導かれた例

新しい売り手に「聞く」ことが、どれほど重要なのかの一例を紹介します。


面談

ある会社(小売流通業)では、お客様に売ったさまざまな商品を紙袋に入れて渡していますが、その紙袋は年間で5000万円発注しています。 そろそろ紙袋を発注しなければならない時期になったため、購買担当者は今までのつながりもあるので、従来からの取引先2社に見積依頼をする予定でした。そんなとき私たちと出会い、新しい業者さんをご紹介させていただき、今回はこの新しい業者さんを含めて3社に見積依頼をすることにしました。 従来までは見積依頼にあたって、とくに自社から文書として仕様書を出してはいませんでした。仕様書といっても、前任者から受け継いだ情報を口頭で伝えるくらいで、とくに仕様の詳細まで考えることもなかったのです。しかし、新規業者さんが加わるとなると、仕様を明確に伝える必要が出てきます。 実際に仕様について考えると、けっこういろいろなポイントがあります。たとえば、紙そのものの品質や大きさをはじめ、袋のマチの幅、取っ手の種類、折り返し、デザインや配色などなどです。 そこで過去の見積書や注文書を取り出して、どんな仕様にするかの検討を私たちと一緒に始めました。新しい業者さんに対しても、その購買担当者の代理として、「この紙袋の品質レベルを落とさないで、コストを抑えられればいいのですが……」という話をしました。 すると、その新しい業者さんの担当者が、 「この仕様にある左右の幅の誤差が2ミリ以内とあるのを、5ミリ以内に変更することはできないですかね」と言われたのです。 「どうしてですか」と担当者に聞くと、 「紙袋は機械で生産しますよね。そうすると2ミリだと歩留まりが悪くなってしまうのですが、5ミリにすると歩留まりがよくなりますから、いい値段も出せるんですけれど」という返事が戻ってきました。 なるほど、と思いました。ただ、要求仕様を私たちが勝手に決めるわけにはいきませんので、購買の担当者に話をしました。 「2ミリを5ミリにしたら、いい値段が出る可能性がありますが、今までの仕様を変えることはできませんか」 確かにこの仕様は、会社が欲しい仕様として細かく決めたものではなく、これまでの業者さんが持ってきていて、問題がないのでそのまま使っているだけで、単純に引き継がれていました。


実際のところ、揃えて使うわけではないので、紙袋の大きさの誤差が2ミリでも5ミリでも、その他の品質が保たれて安くなるならば、それに越したことはありません。 要は、業者さんにいわれるままの仕様ではなく、「自分が欲しいものは何か」「達成したい要求は何か」ということをはっきりさせることが大切なのです。必要以上の高品質はかえって無駄です。


こうしたやり取りのあと、意見を反映した仕様書をつくって見積を依頼したところ、当初はお付き合いのある業者さん2社と合わせても3社しか対応できる業者さんがいなかったのに、10社もの業者さんから見積書を提出してもらうことができました。


著者:谷口健太郎 書籍:リバースオークション戦略(東洋経済新報社)より一部抜粋